トラくんの大脱走

トラくんが脱走をしたのは実は3回あります
もう本当 きもを冷やした
以下その衝撃のスクープです
トラくん脱走 なつかしの梅田川に戻ってしまうのか


トラくんが高橋家に来て まだ一週間もしていない頃
静かな土曜日の朝のお散歩の時 事件は起こった
いつまでもお散歩をやめないトラくんに 
まだ慣れていない妙ちゃんは いいかげん疲れていた
トラくんもう帰るよーと 妙ちゃんがリード引っ張ると
トラくんは いやいやして 足をつっぱり 頭をさげて抵抗
トラくんの力は強いので 妙ちゃんも負けじと思いっきり引っ張る
すると トラくんの首輪がすっぽり抜けてしまった
はあ とっさに何が起こったか判断できない妙ちゃん
しかし トラくんは あらぬ方向へ駆け出していく        

トラくんまてぇと叫んでも 後ろを振り向きながら 嬉しそうに走るトラくん
でへでへ 妙ちゃんと一緒に走ってうれしいですぅ
まてぇと呼んでも待たない 追いかけて走る走る妙ちゃんここのBGMランナー
どこにそんなパワーがあったのか 右を曲がり左を曲がり  見失ったぞ
JRアパートに入り込んで立ちすくむ  トラくんがいない どこに行った
通学途中らしい小学生の兄弟に聞いてみるが びっくりして知らないと言う

途方にくれるも さっきの子供の声がした 犬がいたよー
トラくんだ 泣きそうになりながら トラくんの首をつかまえる
その時 ウンチ取り用のシャベルを 自分の足に落としたらしい
トラくんはそれに驚いたのか いったんは掴んだ妙ちゃんの手を
振り払って また駆け出した  そんなぁ またまた走る妙ちゃん 

歩道で すれ違った親父に だめだっちゃあ放し飼いしちゃあ
のんきな声をかけられる そんなこと言ってるんなら捕まえてくれぇえ

車が少ないのは不幸中の幸いだが そっちは線路だよ電車がくるかも
またまた見失う 榴ヶ岡駅まで来てしまったぞ 電車に轢かれちゃうかも
線路をつたって 梅田川まで帰っちゃうかなぁ
人間何するかわからない 駅員さんにも尋ねるが手がかりなし
顔面蒼白 立ちすくんでいると         
おーいいたぞぉと駅員さんがトラくんを捕まえてくれた
顔中汗と涙だらけ 
他の犬を散歩させていた見知らぬおばちゃんに説教されるも
何を言われているのか わからない

その後どんなふうに帰ってきたのか 覚えていないが
事の顛末を話したら 二郎さんに怒られたことだけは覚えている
子供が怪我や病気をして 一番ショックをうけているのは母親なのに
世間は考えなしに母親を責めるって話のまんまじゃんか
妙ちゃんに怒られる二郎さんであった  いや そうじゃなくて 
後先考えずにリードを引っ張った事に怒ったんだと言い訳しているが
まず開口一番に母親の努力を労わりましょう 世間の皆さん

この事件後 トラくんの首輪とリードは最新式のものに買い換え
妙ちゃんは足から血がでていたので サンダルで散歩するのをやめた
シャベルもプラスチックの軽いものを100円ショップで求めた
その後 トラくんの首輪がぬけることは なかったが      
トラくんの力は強いので リードを落とすことは 数回あった  
そのたびに この悪夢のような出来事が思い浮かぶ妙ちゃんであった

今ではJRアパートは 閉鎖され(マンションにでもなるらしい)
線路は地下に潜ってしまったので 榴ヶ岡駅は地下駅になっている
あの時の子供たちや駅員さんは なじょして(如何して)いるのだろう

お世話になりました 心からお礼申し上げます

トラくんのチェーン何者かに外される


季節は移って冬になっていた 家の前の道路で深夜工事があり
トラくんの安眠が妨害されるらしく ナーバスに吠えることが多くなっていた

その日の夕食時 トラくんたら やに吠えるなあとは感じていたが
ご飯の匂いがしているときは いつものことだと家族は気に留めなかった

夕食後 仕事場に向かった二郎さんと妙ちゃんだったが
荷物が多かったので トラくんの様子はみないで 出かけてしまった

その後 いつもより早めに家に戻った二人が見つけたのは
・・・・・・・からっぽのトラくんのオリだった

トラくんの首輪に繋がっていたチェーンは 
開いているオリの入口を跨いで まっすぐに伸びている
その先に トラくんは いない  いない いないぞお
 
慌てふためいている私たちに 工事現場のおじさんたちが 
俺たちが来たときから静かだったよ 今日はどこかに預けたのかと思った
ということは あの夕食の時に もういなかったの 時間が経ちすぎている
この寒いのに どこに行ってしまった  どひゃどひゃどひゃ

それから一時間半 トラくんが行きそうな所を二人で探し回りながらも
絶望的な思いにとらわれていた
白い息を吐きながら なぜこんなことになったのか   
何のつもりで人の家に入り込み わざわざ重いチェーンをはづしたのか
生命あるものじゃないか トラくんは どこにもいない どうしたらいい

明日 ラジオ局に連絡しようか 新聞広告をだそうか
最後に交番に行って 迷い犬の確認をしたが いるわけもなかった
重い足取りで家に向かっていると 工事現場のおじさんの声がした

おおい 犬がいたよおぉぉー  くぅんくうんくぅん
なつかしいトラくんの鳴き声 かけよってくるトラくん 信じられない
妙ちゃんおなかすいたよぉおん 二郎ちゃん遊んでええん
まといつくトラくんの 首をつかみリードをかける 暗雲の晴れる一瞬

そのままトラくんと交番に行き 迷い犬の届けを取り下げてもらう
工事のおじさんたちにも お礼を言って ようやく家に戻る

考えて見れば お腹がすけば戻ってくるんだよなと拍子抜けする
彼女のところに行ってたんじゃないのと言う二郎さん
たしかに5時間近くもなにをしてたんだろう
明日早いからと早めに帰ってきたのはまるで 無駄になったなあと
祝杯をあげながらも次の日には ロッカーキーを買ってきて
トラくんのオリに取り付ける対策に ぬかりのない二人だった

この事件をはじめ トラくんを棒でつつきまわしたり
花火など投げ込んでいく輩など
世の中には 良い人ばかりではないことが 分かってきた
そんな奴等からは なにがなんでも守ってやらなければならないし
トラくんからは頼りにされていることが自覚できるにつれ
トラくんへの愛情が ますます深くなっていった

出かける時は 必ずトラくんの様子を確認するようになり
トラくんの なき声ひとつに 耳を澄ますようになった

心配症の妙ちゃんと 二郎さんに笑われるほどになっていた

トラくん裏口から脱走 はたしてその行方は


季節はまたまた移って 気候の良い頃になっていた
今日は天気がいいから散歩日和だねーと トラくんのオリに近づく
ふとみると からっぽ 犬小屋にもいない リードははづれてる

中に入って 倉庫の脇とオリの間がいつのまにか開いているのを発見
そこには 大きな植木やブロックなどが置いてあって 
出れないようになっていた筈なのに
何かの拍子にリードが外れたのをこれ幸いと 脱出したらしい
実は 最近トラくんの首の周りの脱毛がひどくなってきたので
重たいチェーンに繋げるのをやめて 軽いリードにしていたのだ
このリード 力の方向によって時々外れていたのは知っていたが
鍵のかかったオリがあるので 気にしていなかった それが拙かった
前回の時と違って 今は昼間 交通量が多い       
トラくんは信号も横断歩道も解らない 轢かれたらどうしょう 

たまたま 二郎さんは外出するところで まだ家にいたので
そんなに遠くに行ってないだろうから 車で探してくると出てった

ひとりで 何をどうしたらいいか解らず 途方にくれていた    
電話が鳴った 誰だこんな時にと思ったら二郎さんの携帯からだった

トラくんがいたよ・・・・・・・信じられない第一声だった    
テルウェルあたりにいるから・・・よし解ったリールを持って駆け出す
見つかっても又逃げ出すかもしれないので 
最悪の事態を考えておかねばと 心づもり

だけど トラくんは 車の開いたドアのすぐ前に座りながら
二郎さんになでなでして貰って 幸せそうに尻尾ふりふりをしていた
いやあテレウェル前に車を寄せたら
トラくんの方から 喜んで走ってきたんだ 
車から降りようとする前に 車のドアをガリガリして催促してんだよ
すぐ抱きついてきて 乗り込もうとするのを たしなめていたんだ
そのまま二郎さんは車に乗って仕事に行った    
                                    
今日のお散歩は 終わりだよ と妙ちゃんに怒られたトラくんであった

倉庫とオリの隙間には ブロックが更に高く積み上げられることとなった
                     めでたし めでたし
                                     
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